工場の電気設備管理はきつい?仕事内容や求められる資格やスキルは?

電気工事士や電気施工管理技士からのキャリアアップとして、
大手メーカーの電気設備管理に転職を考えている方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたに向けて、大手化学メーカーの工場で約8年間電気設備管理の担当者として働いてきた私が

「工場の電気設備管理ってきついの?」
「実際どんな仕事をするの?」
「やりがいはあるの?」

こんな疑問にこれまでの経験を踏まえて現場の声をお届けします。

電気設備管理はみなさんが想像している通り、身体的にも精神的にも厳しい職種ではあります。
しかし、その分、現場の仕事に比べて高いお給料をいただけたり、仕事を進める中で新しいスキルを
身につけることができるやりがいのある仕事だと思っています。

これから電気設備管理の仕事を目指す方、転職を考えている方の参考になれば幸いです。

目次

設備管理とは

まず、「設備管理」という仕事について簡単にご説明します。

設備管理は、工場やビル、施設などの設備を安全かつ効率的に稼働させるために
点検や保守、修理、改善を行う仕事です。

設備管理には管理する設備よって以下のような分野があります。

  • 電気設備管理: 受変電設備、配電設備、照明、動力設備、モーター、ヒーター、自火報設備など
  • 機械設備管理: ボイラー、ポンプ、ブロワー、配管、弁、空調設備など
  • 計装設備管理: センサー、制御システム、自動化設備など

私が担当していたのは、この中の電気設備管理です。

工場の「心臓部」とも言える電気設備を管理し、安定した生産活動を支える役割を担っていました。

工場の電気設備管理の仕事内容

では、具体的にどんな仕事をしていたのか。日常業務から特殊な業務まで、詳しく紹介します。

日常業務

1. 定期点検・メンテナンス

工場の電気設備は24時間365日稼働しています。もし、設備の故障によって工場が停止してしまった場合、
工場が停止している期間、製品の生産ができず機会損失(製品を生産していた期間の利益が得られないため
間接的に損失が発生する)というものが発生します。そのため、工場の生産を継続するために設備の定期的
な点検や日頃からのメンテナンスが欠かせません。

  • 受配電設備の月例点検
  • 変圧器の温度・異音チェック
  • 配電盤の絶縁抵抗測定
  • モーター類の振動・発熱確認
  • 非常用発電機の動作試験

これらの点検は、法定点検(電気事業法に基づく)と自主点検の両方があります。

私の会社では、これらの点検業務や整備は、担当者自ら実施するのではなく、外部の施工企業に
業務委託していました。そのため、点検や整備の計画立案や点検後の点検報告書の確認、点検で
発見した異常への処置の判断が私たち電気設備管理者の仕事になります。

2. 工事管理

設備の更新や新規導入、改善工事の管理も重要な業務です。工場の中には稼働してから数十年経過
しているものも多く存在します。その工場の設備は長年の運転によって部品が消耗することで、継続
的な運転が難しくなってきます。そのような設備に対して、私たち電気設備管理者は更新計画を立案し、
工事の見積もりから発注、工事管理までを一貫して担当します。

  • 工事業者との打ち合わせ
  • 工事計画の立案・スケジュール調整
  • 現場での安全確認・進捗管理
  • 完成後の試運転・検収

日中は工事現場を巡回し、「依頼通りに工事が行われているか」「安全に作業が進んでいるか」を確認します。

3. トラブル対応

これが電気設備管理の仕事で最も緊張感のある仕事です。
これまでの定期点検やメンテナンス、設備の更新を行なっていても避けられない故障が多く発生します。
その故障が発生した際の迅速な判断と対応、その後の再発防止対策の立案が電気設備管理者としての力の
見せどころともいえます。

  • 設備故障時の原因調査
  • 生産ラインへの影響を最小限にする応急処置
  • 業者への連絡・指示
  • 復旧作業の立ち会い

はじめはトラブルが発生するたびに焦って頭が真っ白になっていましたが、慣れてくるとトラブルを解決
するのが、ゲーム感覚で楽しくなってきます。

4. 資料作成・事務作業

電気設備管理の仕事は現場作業だけではありません。
工事だけでも工事依頼書の作成、工事計画書の確認、書類の回覧、完成報告書の確認等多くあります。
それ以外にも予備品管理や予算管理、設備管理のどの業務においても資料作成や事務作業が発生します。

  • 工事報告書の作成
  • 点検記録の整理
  • 予算管理資料の作成
  • 法定書類の提出準備
  • 設備台帳の更新

その他の業務

夜間・休日の緊急対応

24時間稼働の工場では、夜間や休日にもトラブルが発生します。

担当者はオンコール体制で待機し、緊急時には駆けつけて対応します。

工場の電気設備管理がきついと言われる理由

ここからは、私が8年間働いて感じた「きつい」と思った点を正直にお話しします。

1. 残業が多い

これは多くの設備管理者が感じることだと思います。

なぜ残業が多いのか:

  • 日中は工事管理で現場を巡回
  • 資料作成は工事完了後の夕方以降になる
  • 突発的なトラブル対応が入る
  • 月末・年度末は報告書作成が集中する

私の場合、ピーク時には月80時間の残業をしていました。

ただし、これは慣れの問題もあります。経験を積むと効率的に業務を進められるようになり、残業は減らせます。
実際、3年目以降は月20〜30時間程度に落ち着きました。

対策として心がけたこと:

  • 工事中の待ち時間に資料の下書きを作成
  • テンプレートを活用して資料作成を効率化
  • 優先順位をつけて計画的に業務を進める

2. 夜間・休日の呼び出し対応がある

これが精神的に一番きついかもしれません。

担当する工場の稼働率や設備の古さによりますが、呼び出しが多い工場では月1回程度の呼び出しがありました。

最初は上司や先輩と一緒に対応しますが、慣れてくると「夜間の呼び出し→現場確認→対処方法の判断→必要に応じて業者へ連絡」という一連の流れを、自分一人で完結させなければなりません。

3. 過酷な作業環境

工場特有の厳しい環境での作業もあります。

夏場の暑さ:

工場内の設備が稼働している建物は、夏場は40℃を超えることも。その中で工事の進捗確認や点検を行います。

自分で工事をするわけではありませんが、安全確認や立ち会いのため、数時間その環境にいる必要があります。

その他の過酷な環境:

  • 化学工場特有の臭気がある場所
  • 防塵マスクや保護具の着用が必須の場所
  • 高所作業(配電設備の点検など)
  • 騒音が激しい場所

配属される工場によって環境は大きく異なるので、事前に職場環境を確認しておくことをおすすめします。

4. 責任の重さ

これは「きつい」というより「プレッシャー」ですが、避けて通れません。

なぜ責任が重いのか:

  • 一つの工場の電気設備全体を一人で管理する
  • 自分の判断ミスが生産停止につながる可能性
  • 年間数億円の生産に影響を与えうる
  • 法令遵守の責任者として対外的な説明責任もある

最初は上司や先輩と一緒に仕事をしますが、いずれは一人で一つの工場を任されるようになります。

深夜のトラブル時、「この判断で本当に大丈夫か?」と不安になることもありました。

ただし:

この責任の重さを乗り越えると、どこに行ってもやっていける自信が得られるのも事実です。

工場の電気設備管理の魅力とやりがい

ここまでで電気設備管理の仕事は大変そうだと感じた方もいるかもしません。しかし、電気設備管理は現場作業員や
施工管理の仕事に比べて、担当者一人に掛かる責任が大きい反面、やりがいを感じることができる、年収が高い、自分の裁量で仕事を進められるなど、それ以上の魅力とやりがいがあります。

工場の電気設備管理に求められる資格とスキル

工場で電気設備管理の業務を行ううえで、専門的な知識や資格は強みになりますが、実務を行うのに必須なわけでは
ありません。実際のところ、専門的な知識や資格については、会社に入ってからでも得ることができます。
特に大手メーカーでは、入社教育制度も整えられていますし、OJTを通じて上司や先輩社員から教えてもらうことが
できます。
それよりも重要なのは、会社に入ってからも常に新しいことを学ぼうとする姿勢であったり、社内外の関係者と交流することができるコミュニケーション能力です。

ただし、資格を持っていることが有利に働くことがあるもの事実です。一部の求人では、電験三種や施工管理技士などの資格を必須資格としていることもあります。

ここでは、電気設備管理の仕事に就く上で、持っておくと有利な資格や求められるスキルについてご紹介します。

持っていると有利な資格

電気系の資格:

  • 第三種電気主任技術者(電験三種): 自家用電気工作物の保安監督ができる国家資格。電気設備管理者として最も重要な資格の一つ。
  • 第一種/第二種電気工事士: 電気工事の基本資格。実務で必須ではないが、現場の理解に役立つ。
  • 1級/2級電気施工管理技士
  • エネルギー管理士(電気分野): 省エネ法に基づく資格。大規模工場では選任が必要。

その他の資格:

  • 危険物取扱者(乙種4類): 化学工場では重宝される
  • 消防設備士(甲4類): 工場の自動火災報知設備の管理に必要

求められるスキル

技術スキル:

  • 電気回路の基礎知識
  • 電気図面の読解力
  • トラブルシューティング能力
  • 関連法規の理解(電気事業法、労働安全衛生法など)

ソフトスキル:

  • 問題解決力: トラブル時に冷静に原因を分析し、対策を立てる
  • コミュニケーション力: 業者、生産部門、上司など多様な人と調整する
  • 責任感: 工場の安定稼働を支える自覚
  • 継続学習力: 新しい技術や法改正に対応する姿勢

意外と重要なのは:

工事業者や生産部門との良好な人間関係を築く力です。

トラブル時に協力してもらえるかどうかは、日頃のコミュニケーション次第。技術力だけでは務まりません。

工場の電気設備管理に向いている人・向いていない人

8年間の経験から、「こんな人が向いている」「こんな人は苦労するかも」という点をまとめます。

向いている人

1. 問題解決が好きな人

トラブルに直面した時、「なぜ故障したのか?」「どうすれば直るか?」と考えるのが楽しいと感じる人。

パズルを解くような感覚で仕事に取り組める人は、電気設備管理に向いています。

2. 責任感が強い人

「自分がこの工場を支えている」という自覚を持ち、使命感を感じられる人。

重圧をやりがいに変えられるタイプの人は、長く活躍できます。

3. 学び続けることが苦にならない人

技術は日々進化し、法規も改正されます。

「勉強は学生時代で終わり」ではなく、現場で学び続ける姿勢がある人が成長します。

4. チームで働くのが好きな人

一人で黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、実際は多くの人と協力して仕事を進めます。

業者、生産部門、他部署との調整が多いため、協調性がある人が向いています。

5. 体力と精神力がある人

夜間呼び出しや夏場の現場作業など、体力的にタフな場面もあります。

また、責任の重さやプレッシャーに耐えられる精神的な強さも必要です。

向いていない人

1. ルーティンワークを好む人

設備管理は予測不可能なトラブルが発生します。

「毎日同じ時間に同じ仕事」というルーティンを好む人には、ストレスに感じるかもしれません。

2. プライベートを絶対優先したい人

夜間や休日の呼び出しがあるため、完全にオフの時間を確保するのは難しいです。

「仕事は定時で終わらせたい」「休日は絶対に仕事をしたくない」という人には厳しいかもしれません。

3. デスクワークだけをしたい人

資料作成などのデスクワークもありますが、現場作業も多いです。

「外に出たくない」「現場は嫌だ」という人には向いていません。

4. 責任を負いたくない人

工場の電気設備全体を管理する責任者になります。

「責任は負いたくない」「指示されたことだけやりたい」というスタンスでは、長く続けるのは難しいでしょう。

まとめ:きついけど、やりがいのある仕事

ここまで、工場の電気設備管理のリアルをお伝えしてきました。

正直に言えば、きつい仕事です。

  • 残業が多い時期がある
  • 夜間・休日の呼び出しがある
  • 過酷な環境での作業もある
  • 責任が重い

しかし、それ以上のやりがいと成長があります。

  • トラブルを解決した時の達成感
  • 自分の提案が形になる喜び
  • 専門性を高められる環境
  • どこでも通用するスキルが身につく
  • 工場を支えているという誇り

私は8年間、この仕事を通じて多くのことを学び、成長できました。

「工場の電気設備管理は自分に向いているか?」

この記事を読んで、少しでもイメージが湧いたなら嬉しいです。

もしあなたが、問題解決が好きで、責任感があり、学び続ける意欲があるなら、きっとこの仕事で活躍できるはずです。


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